異なる運動が自律神経活動に与える影響
トリガースクール講師の中村が、2022年9月24日・25日に開催された第10回日本運動器理学療法学会学術大会にて、発表させていただきました。
要旨
〔目的〕
脊柱の運動が自律神経活動および気分に与える影響について明らかにすること
〔対象〕
一般公募で同意が得られた健常成人22名
〔方法〕
脊柱運動群と肩甲帯運動群にランダムに分類し、それぞれの群に割り当てた運動を1回5分程度を1週間に3回以上, 1ヶ月間介入
〔結果〕
『脊柱運動群』は『肩甲帯運動群』に比べて、胸椎の屈曲可動域は向上し、交感神経活動の値が少なくなり、DAMSの「不安気分」の点数も低くなった
〔結論〕
脊柱の運動は疼痛閾値や過敏性と関係の深い交感神経の活動を抑える可能性があり、運動器リハビリテーションにおいてもその有用性が示唆された
所感
今回の研究で、脊柱に対する運動療法によって脊柱の可動域が向上することで交感神経の値や気分にも影響を与える可能性が見出されました。
これにより、痛みや不安感を訴える運動器疾患の方々に対しても、疾患部位への理学療法以外に脊柱へアプローチすることで、自律神経によって修飾されている症状についてアプローチできる可能性があると考えています。
交感神経が優位になることで、痛みも感じやすくなり、筋緊張は亢進し、呼吸パターンは乱れ、アウターマッスルの筋出力は増え、姿勢も変化します。
そのため、たとえ整形外科的な不調が主訴であったとしても、自律神経的な視点を持つことによって介入の幅が広がるはずです。
今回の研究が、運動器疾患領域で活躍されるセラピストの方々が自律神経について学び深めるキッカケになれば幸いです。