筋膜に対する介入(Fascial Manipulation)が自律神経活動と睡眠に及ぼす影響@第28回日本基礎理学療法学会学術大会in広島
こんにちは!
トリガスクール講師の中村です。
2023年12月2日,3日に広島県で行われた第28回日本基礎理学療法学会学術大会にて、『筋膜に対する介入(Fascial Manipulation)が自律神経活動と睡眠に及ぼす影響』というテーマで発表させていただきました。
それでは発表の一部をご紹介しますね!
はじめに
臨床上、筋膜の施術後に眠気を訴える方や、施術直後だけでなく入眠がしやすくなったり、中途覚醒がなくなったりするクライアントさんを多く経験してきました。
Alun(2014)の報告によれば、筋膜リリースは痛みの軽減に役立ち、睡眠の質と抑うつ状態の改善にも役立つともされています。
しかしイタリア発祥の筋膜に対する徒手療法であるFascial Manipulationが自律神経活動や睡眠に与える影響についての報告はありません。
よって今回は、Fascial Manipulationが自律神経活動および睡眠に与える影響について検討しました。
結果
自律神経均衡度
自律神経均衡度は介入前と比較し、介入後に優位に交感神経の値が減少しました。
アテネ不眠尺度
アテネ不眠尺度は介入前と比較し、介入後に優位に不眠尺度の点数が減少しました。
考察
Fascial Manipulation介入後に交感神経活動が減弱
筋膜には固有受容器や侵害受容器で構成(Suarez-Rodriquezら,2022)されていることや、ルフィ二小体の刺激が交感神経系の活動を低下させると推測(Schleipら,2013)との報告などから、Fascial Manipulationによって筋膜に包埋されている体性感覚受容器からの求心性信号が変化したこと、ルフィ二小体を刺激したことにより中枢神経系の興奮抑制と交感神経活動の減弱が生じたことが影響したのではないかと考えています。
Fascial Manipulation介入後にアテネ不眠尺度の点数が減少
Rodenbeckら(2001)によると、原因のはっきりしない(原発性)不眠症患者は夕方および夜間の血清コルチゾ−ル濃度が上昇し、夜間の覚醒回数との間に強い正の相関があるとの報告や、後頭下筋膜リリースの介入を受けた参加者では唾液コルチゾールレベルが有意に低い(BL Silvaら,2020)とする報告から、筋膜への介入によって感覚線維への刺激を介してストレスホルモンであるコルチゾール分泌が抑制されたことで、入眠や中途覚醒の点数減少が不眠尺度の点数減点に繋がったのではないかと考えています。
結語
筋膜への介入(Fascial Manipulation)は交感神経活動を抑制し、睡眠の質を変化させる可能性が示唆されました。
今回の発表では、基礎研究に携わる先生方にも筋膜に対する徒手療法に興味を持っていただき、ご質問もたくさんいただき感謝いたします!
筋膜に対する徒手療法がカラダの内部で実際にどんな変化をもたらせているのかはまだまだ不明なため、今後もコツコツと臨床と研究を進めていき、自律神経性愁訴や不定愁訴でお困りの方々のお役に立てるよう、日々精進していきます!
今回の研究に関わってくださった皆さま、学会運営の皆さま、ありがとうございました!
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