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トリガースクールの中村が、第14回日本筋骨格系都種理学療法研究会学術大会のメインテーマシンポジウムの講師を務めました
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第14回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会|メインテーマシンポジウムに登壇しました

2026年10月4日、第14回日本筋骨格系徒手理学療法研究会学術大会のメインテーマシンポジウムにて、講演の機会をいただきました。

今大会のテーマは「共創~徒手理学療法の新境地~」

大会準備委員長より、自律神経領域の臨床家を代表する立場として大役を拝命し、恐縮ながら、これまでの臨床経験や自社で取り組んできた研究活動を交えながら、

「徒手理学療法における自律神経マネジメントとの共創」

というテーマでお話しさせていただきました。

今回のシンポジウムでは、兵庫医科大学の森明子先生が「ウィメンズヘルス領域における徒手理学療法」、京都大学大学院の山口智史先生が「物理療法と徒手理学療法の共創」についてご講演されました。

それぞれ異なる専門領域から徒手理学療法の可能性を考える、非常に貴重な機会となりました。

自律神経を語る責任について

「自律神経マネジメント」という、とても大きなテーマで講演の機会をいただけたことは、大変光栄でした。

一方で、普段から自律神経系の不調を抱える方々のケアに携わっているからこそ、今回の講演では「どこまでお伝えするのか」ということも強く意識しました。

臨床において、今わかっていることと、まだわからないこと。

できることと、できないこと。

実際に身体の変化を経験することはあっても、その理由や作用機序を十分に説明できないこと。

そして、現時点ではあくまで「可能性」として捉えておくべきこと。

こうした線引きを大切にしながら、これまでの臨床経験と研究活動、そして現在の科学的知見を踏まえ、臨床家として今お伝えできることを整理してお話ししました。

自律神経は、さまざまな身体機能に関わる一方で、その複雑さゆえに、症状や身体反応を単純な因果関係で説明することはできません。

だからこそ、臨床で経験した変化を大切にしながらも、それを過度に一般化したり、科学的に明らかになっていないことを断定したりしない姿勢を、これからも持ち続けたいと考えています。

「何に触れるか」から「誰に触れるか」へ

今回の講演で最初に投げかけたのは、

「同じ徒手療法を行っても、なぜ人によって反応が異なるのか?」

という問いです。

同じ手技を用いても、症状が軽減する方もいれば、変化が乏しい方、刺激を強く感じたり、不快感が生じたりする方もいます。

こうした違いを、筋・関節・筋膜といった組織の問題だけで説明できるのでしょうか。

私たちの臨床では、睡眠、心理的ストレス、身体活動、食習慣、内部機能、生活環境など、さまざまな要因が一人の身体に重なっています。

そして自律神経調節も、こうした身体状態や疼痛反応と相互に関係しています。

だからこそ、徒手理学療法においては「どの組織にアプローチするか」だけでなく、「今、どのような状態の人に触れているのか」という視点が重要だと考えています。

自律神経を診ることは、カラダの反応を診ること

自律神経は、循環、呼吸、瞳孔、皮膚、消化管、体温など、さまざまな身体機能の調節に関わっています。

ただし、私たちが臨床で観察しているのは、自律神経そのものではなく、身体に現れる反応です。

今回の講演では、安静時の数値だけでなく、刺激に対してどのように反応し、その後どのように回復するのかという「反応性」にも着目しました。

例えば、呼吸性洞性不整脈(RSA)は、呼吸に伴って心拍リズムが変化する現象です。

ゆっくりとした呼吸によって心拍変動が変化することは知られていますが、同じ呼吸数であっても、頸肩部に過剰な力が入る方と、無理なく胸郭を動かせる方では、身体の使い方が異なります。

ここから考えたいのは、単に呼吸の方法を指導するだけでなく、

無理なく呼吸できる身体条件を整えることも、徒手理学療法の役割になり得るのではないか

ということです。

もちろん、これは今後も検証が必要な臨床仮説です。

徒手療法を「感覚入力」として捉え直す

徒手療法は、筋・関節・筋膜などの組織に対する機械的な刺激であると同時に、神経系への感覚入力でもあります。

皮膚、筋膜、筋・関節などから生じる感覚情報は神経系で処理され、疼痛、運動、自律神経を含むさまざまな身体反応に関わる可能性があります。

今回の講演では、Fasciaの神経支配に関する研究も紹介し、筋膜を力学的な組織としてだけでなく、感覚に関わる組織として捉える視点についてお話ししました。

一方で、徒手療法によって自律神経関連指標が変化することと、特定の手技によって意図した自律神経反応を選択的に引き起こせることは、同じではありません。

現時点で明らかになっていることと、まだ検証が必要なことを区別しながら、臨床に応用していく姿勢も大切にしています。

臨床から生まれた問いを、研究へ

後半では、これまで取り組んできた臨床研究や症例研究についても紹介しました。

Fascial Manipulation®を用いた研究では、胸椎可動域、自律神経関連指標、主訴、心理状態、睡眠などを多面的に評価してきました。

また、機能性ディスペプシアを有する女性への介入事例など、筋骨格系と内部機能を同じ一人の身体の中で捉える取り組みについてもお話ししました。

もちろん、これらは小規模研究や症例研究であり、介入効果の因果関係や作用機序を断定できるものではありません。

それでも、日々の臨床で感じてきた疑問を、評価し、記録し、学会発表や論文という形で検討していくことには大きな意味があると考えています。

臨床で生まれた問いを研究につなげ、研究で得られた知見を再び臨床へ返していく。

今後も、この循環を大切にしていきたいと思います。

私が考える「自律神経マネジメントとの共創」

今回の講演でお伝えしたかったことを、一つにまとめると、

「状態から入力を考える」⇄「入力から身体反応に働きかける」

という双方向の視点です。

自律神経を含む身体状態を理解し、その人に適した介入を考える。

そして、徒手療法による感覚入力が、自律神経活動を含む、どのような身体反応につながったのかを観察し、再評価し、次の臨床推論に生かす。

自律神経マネジメントは、徒手理学療法と対立するものでも、従来の技術に取って代わるものでもありません。

徒手理学療法に新たな視点を加え、一人の患者さんをより多面的に理解するためのものだと考えています。

また、ウィメンズヘルス、物理療法、自律神経マネジメントなど、異なる専門性が一人の患者さんの中でつながることも、今回の大会テーマである「共創」の一つの形ではないでしょうか。

最後に|感謝と、これから

今回、このような貴重な機会をいただけたことに、心より感謝申し上げます。

座長を務めてくださった大会長の宮﨑先生、副大会長であり養成校時代にお世話になった山内先生。

そして、今回の講演にお声がけくださった大会準備委員長の安彦先生、企画部長の重藤先生。

このような素晴らしい機会をいただき、本当にありがとうございました。

また、応援に駆けつけてくれた瞳さん、前職・同期の石川さんにも感謝しています。

実は、今回かなり緊張していたので、お二人の存在が本当に心強かったです。

ありがとうございました!

多くの方に支えていただきながら、とても貴重な経験をさせていただきました。

今回得た経験を、これからの臨床・教育・研究、そして社会還元へとつなげていきたいと思います。

TRIGGER SCHOOLでも、科学的根拠と臨床経験の双方を大切にしながら、目の前の一人をより深く理解できるセラピストの育成に努めてまいります。

今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

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