
全身性エリテマトーデス患者の月経痛に対する筋膜マニピュレーション@第51回日本女性心身医学会学術集会
こんにちは。
トリガースクールの半田瞳です。
2023年7月29日・30日に岡山県で開催された第51回日本女性心身医学会学術集会に参加してきました。
人生初の岡山です!
学会では、『全身性エリテマトーデス患者の月経痛に対する筋膜マニピュレーション』について報告させていただきました。
以下、発表内容を少しご紹介させていただきます。
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20代女性、5年前に全身生エリテマトーデス(SLE)と診断
SLEにより服薬制限があり、月経痛に対する鎮痛薬の服用ができず、月経痛が強い周期には通学または授業参加が制限されている状況でした。
月経痛の原因はさまざまありますが、その1つに骨盤内血流量の低下があります。
循環動態が低下すると経血を押し出そうとプロスタグランジンが過剰に分泌され、疼痛の増強を引き起こします。
循環動態を改善するために運動の有効性が示唆されています。
血管は筋膜によって包埋され、血管を包む被膜や周辺の結合組織によって血管の形状や血流が保持されています。
筋膜および血管周囲の結合組織の滑走不全により、循環動態にも悪影響を及ぼす可能性があり、筋膜の滑走性を回復させる手技であるFascial Manipuletion(以下、FM)が骨盤内血流を改善させる有効な手段となり得ると考え、介入を実施しました。
今回は月経随伴症状の程度をMDQ、痛みの評価をVAS、そして、内腸骨動脈の血流量を超音波画像診断装置を用いて測定し、FMを1回90分、月に1回、3ヶ月間実施しました。
結果はこちら
介入より2周期目で月経痛はほぼ消失し、MDQの点数も改善。
血流量も同様に、2周期目から増加していました。
これらのことから、基礎疾患により服薬や運動制限がある患者の月経痛に対し、FMが有効である可能性が示唆されました。
その要因として、FMによって骨盤内の循環動態を改善し、プロスタグランジンの過剰分泌を抑制抑制する効果が期待できるのでは、と考えました。
昨年同様、今年の発表でもたくさんの医師に筋膜やFascial Manipulationに興味を持っていただくことができ、とても貴重な経験ができました。
今後もコツコツとFascial Manipulation®の可能性を広めていく活動をしていきたいと思います!